2001年 9月号 ある暑い日の起承転結 (株)計画情報研究所取締役 安江 雪菜 様
   ある日のこと、トイレトレーニング中の二歳になる娘が異常にくさい。特に、顔周辺が臭う。歯も磨いてるし、髪もそんなでもない。お風呂に入ってもにおいはとれず、翌日もくさかった。本人は相変わらず、無邪気に遊んでいる。「もしかしたら!」と思って、鼻の穴の中を覗くと、なにやら奥に白いものが・・・。そういえば、以前、ティッシュを細かくちぎって鼻の穴につめて遊んでいたのをピンセットで取り除いたことがあったけど、その後もどこかで隠れてやっていたのかも。娘を押さえ付け、小さな鼻の穴からつまみだそうとするが、泣き叫んで暴れるので、なかなかとれない。昼寝の最中なら、とチャレンジしたものの、今度は怒って起きてしまった。
というわけで、長者番付上位ランキングで有名なある耳鼻科へ直行となった。待合室では隣の女性から「あら、この子、かわいいわね〜。いくつ?」と話しかけられ、うちの娘もピースサインで「にちゃいでちゅ」と気を良くして答えておった。私も「でも、鼻の穴にティッシュが詰まっててくさいんですのよ〜。オホホ」と言いかけたがやめた。
運命の診察室では、「たじゅげてぇぇぇ〜」と泣き叫ぶ我が子を看護婦さんと3人かかりで押さえつけ、先生が鼻の奥にチューブを差し込む。「ママ、おしっこ出る〜!!」と叫ぶが、みんなに無視され、やっと鼻の奥から、大人の小指の先くらいの大きさのどろどろになったブツが取り出された。一同一安心・・・と思ったのもつかの間、「ママ〜おしっこ出た〜!!」。その瞬間、医者も看護婦も一歩後ろへ引いたのを私は見逃さなかった。ほんの2分くらいの出来事だった。そして請求されたお金は4130円。「なんですと〜!!」ひきつった私の表情を察し、美しい受付嬢は、「乳児は金沢市の助成がありますから」と冷静にのたまった。
 多分、こんな子供もいっぱい来るんだろうなあ〜と思った暑い日の貴重な経験だった。