2001年 8月号 KIMONO 一平鮨女将 石崎 はるみ 様
   夏の花火大会には浴衣姿の女性を多く見かけます。下駄をはく白い素足は、昼間ミュールをはいている足とは別ではないかと思われる程ステキです。
 私も着物が大好きで、何かにつけて着物で出掛け、着物を着たいがゆえに用事をつくると云う次第です。どこが良いかと問われると、まず、背すじが伸び、シャキッとした気分がまことに爽快です。そして、洋服の時とちがい、小幅で歩かざるをえなくなります。そうして歩いているうちに、身のこなしが柔らかくなり、言葉までもが変わってきます。その云う自分を楽しむ余裕が大人の証だと自賛したりもしています。
 洋服にはない色あわせ、柄あわせ、自分だけのセンスを発揮するおもしろみを見つけると、ますます深みにはまってしまいます。
 帯が結べない、値段が高い etc 、敬遠の要素はいっぱいありますが、違う自分を発見できるキモノ。セレモニーの約束を守りつつ普段は、アジアンテイストでチャーミングに、また大正ロマン風に小粋に着こなし、小物をきかせて自分流に仕上げる。すれ違う人がふり返りたくなる着姿。一度自分でキモノを着て外へ出ると大いなる自信がつきます。
 夏こそ着物。着る時は気合を入れて汗だくになっても、外を歩く時はパラソルをさして涼しそうな顔でいると、不思議に暑さも苦にならなくなり、見る人にもさわやかさを与えます。
 こと女性はファッションにはどん欲な執着心がありますが、着物のそれは何十倍もあると思います。
 全国の着物好き調査では石川は十三位です。加賀友禅、能登上布、牛首紬など世界に誇れる産地に住んでいる私達。
 もっともっと着物を楽しもうではありませんか。