990113:本日のNHKニュースから

「有害物質を無害化する光触媒」

本日、1999年1月13日朝のNHKニュース(7時台)に「有害物質を無害化する光触媒」のお話が紹介されていましたので、簡単にご報告します。
 単身赴任先のマンションで朝の所用の手が放せず断片的に漏れ聞こえのメモですので一部情報が不十分ですが、ご容赦ください。詳細をご存知の方が居られしたら、ご一報頂けると幸いです。

 ということで、1/17付けのメールで愛知の加藤さんという方から早速情報をお寄せ頂きました。光触媒の情報が満載の頁はこちらです。ありがとうございました。

●ニュースの要点

  • 二酸化チタンに光を当てると、物質を分解させる触媒の性質がある。
  • これを利用して名古屋の公的試験機関が日本海で発生した重油流出の際の状況を再現すると、1週間程度で水と二酸化炭素に分解・無害化した。
  • 動物の生殖機能に影響があるとされる環境ホルモンの分解にも応用研究されている。
  • 車の排気ガスの無害化の研究も進められている。
  • 二酸化チタンは、歯磨き粉(?)等にも使われているほど極日常的にありふれた物質でそれ自体は無害・廉価であり、今後の応用範囲は広く、期待されている。

 早速、手元にある歯磨き粉の成分表を見ましたが、残念ながら「酸化チタン」の表示があるものはありませんでした。「歯磨き粉」というのは、あるいは私の聞き間違いかもしれません。

●酸化チタンの効果実験
 実は、仕事の関係で排気ガスの無害化に酸化チタンが有効であることは知っていました。
 酸化チタンと排気ガスの有害物質であるNox(酸化窒素)を密閉した容器に入れ、光を当てるとほぼ一瞬で窒素と酸素に分解されます。
 酸化チタンには優れた触媒能力が有ることを示す実験を目の当たりにして驚きました。既に都市部で実験が始まっており、排気ガスの発生源付近で分解するのが最も効率的なので、道路の舗装材に酸化チタンを混ぜて設置するものです。
 私の記憶では、千葉県習志野市で市道の歩道の舗装ブロックの表面にこの加工をしたものを使い、実際の効果を見ているようです。本来は、車道舗装表面に酸化チタンを混ぜると良いように思われますが、車の走行で表面が摩耗し(削られ)てしまいますので、実験では歩道にしたようです。

●重油災害とその対処法について
 石川県の沿岸でも人が入れなくて重油の回収がされなかった無人島では、鳥のフンに含まれる細菌によって1年後には殆ど分解されていたという金沢大学の研究結果が地元では報道されています。
 手付かず自然が本来持つ自己回復力の強さに驚いたのですが、酸化チタンのような触媒を使ってさまざまな有害物質を迅速・効率的に分解できれば、事故や災害(特に化学プラント)時の対処法としても有効です。(石油タンカーも一種の化学プラントと見なせます)

 本来は、このような事故や災害は人知によって未然に防ぐ努力が欠かせませんが、今回の重油災害を始めとして、甚大な被害を及ぼす時は、事前の想定を超えた事が起こった場合です。科学者としては万一の場合にも有効な対処方法を用意しておくことが重要と思います。

 その意味で、「酸化チタン」は今後大きな関心を持ってウォッチングしたいと思います。皆さんも何か情報がありましたら、ご一報頂けると幸いです。


●最後にNHKさんへの要望
 以前にもNHKホームページにも意見をお送りしたのですが、皆さんの御意見も伺いたく、掲示します。

 NHKの報道はかなりレベルが高く、充実した内容が多いと思います。ただ、放送という極めて蒸発しやすいメディア(媒体)のため、大変残念なことに新聞・雑誌のような切り抜きクリップができないことが最大の欠点です。従って、今回のニュースのように視聴者が手が放せない場合ビデオに撮ることもできず、情報がただ流れ去ってしまい、情報の精度が極端に低下します。これは大変勿体無いことです。

 そこで、是非ニュースや番組のキーワード・取材者へのアクセス手段だけでも結構なので、これをデータベース化し、NHKのホームページでアクセスできるようにしてほしいと思うのです。

 そうすると、NHKの綿密な取材によって集められた莫大な人類の知識・知恵が、現在よりも、もっと有効な形で「一種の知識・知恵交換の場」として引き続きNHKの存在意義がより大きくなると思うのです。

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